フルード数と常流・射流・限界流について解説

 前回の記事でも少し触れましたが、流速Vと波速c=√(gH)の比をフルード数といいます。このフルード数はどのように用いられるのかを解説したいと思います。

 ちなみに、また歴史からも解説しますと、フルード数(Froude Number)の名前の由来となった人物は、1868年にイギリスの技術者・造船研究者であるWilliam Froude(ウィリアムウ・フルード)による発表よって広く普及させたことからフルード数と呼ばれているようです。

フルード数とは

 まずは定義

\[ Fr=\frac{V}{\sqrt{gH}} \]

Fr:フルード数
V:流速(m/s)
g:重力加速度(m/s²)
H:水深(m)

 つまり

\[ Fr=\frac{流れの速さ}{\\波の速さ} \]

 です。

常流とは

\[ Fr\ <\ 1 \]

 水の流れより波の伝わり方が速い。
 波は上流へ伝わることができる。
 堰のゲートによる水位変化の影響が上流へ伝わる。

 実際の流れのイメージは下の写真のようなゆったりとした流れです。波が上流に伝わりそうな流れです。

写真1 常流のイメージ

射流とは

\[ Fr\ >\ 1 \]

 水の流れの方が波の伝わり方より速い。
 波は上流へ伝われない。
 急流河川や落差工直下など

 写真イメージでは下の写真のように流速が早い流れです。波立てても上流側へは伝わりそうもありません。

写真2 射流のイメージ

限界流とは

\[ Fr\ =\ 1 \]

 流速と波速が一致する状態。

 これは普通の河川の写真では分かりにくいので、下の写真のように、落差工で上流側の常流状態から下流側の射流状態に移行する瞬間に落差工の直上で限界流となります。限界流の状態や特徴を見ただけではよく分かりませんが、そのときの水深(水面から落差工上端)を限界水深といい水理計算に利用されます。

写真3 限界水深発生のイメージ

常流・射流・限界流で何が分かるか

 常流(Fr<1)の場合、流れよりも波の方が速いため、構造物による影響は上流側へ伝わります。その結果、堰や橋梁などを設置すると上流側の水位が上昇することがあり、既設護岸の高さが不足しないかを確認する必要があります。

 これに対して射流(Fr>1)の場合、流れの方が波よりも速いため、構造物による影響は基本的に上流側へ伝わりません。このため、構造物による水位上昇の影響は主として下流側に現れます。ただし、構造物付近では局所的な水位上昇が生じることがあります。
 また、射流は常流に比べて流速が大きいため、河床や護岸の洗掘が問題となる場合があります。例えば落差工の設置などにより流れが射流となる場合には、流れが再び常流へ戻るまでの区間について、護床工などの洗掘対策を検討することが重要です。

 限界流は常流と射流の境界となる状態です。実務では限界流そのものを評価するというよりも、そのときの水深である限界水深を利用して、上流側が常流の場合や下流側が射流の場合の水深計算を行う際の計算開始条件を限界水深として利用する場合が多くあります。(計算方法はまだ解説していない不等流計算の場合です)

まとめ

 フルード数は流速と波速の比を表す無次元量であり、流れの状態を判断するために用いられます。その状態とは「常流(Fr<1)」「射流(Fr>1)」「限界流(Fr=1)」です。それにより現状からの水位・流速変化の傾向が読み取れ設計に生かせます。
 また、その数値を利用して落差工の設計では跳水現象を計算するために利用されています。それにより護床工の設置範囲の計算を行うなどにも利用されています。

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