前回までは、ベルヌーイの定理や摩擦損失について解説してきました。
ここからは、それらを使って実際に開水路である水路や河川の水位を求める不等流計算について解説していきます。
不等流計算は内容が多いため、数回に分けて説明します。
今回はその最初として、**「不等流とはどのような流れなのか」**を、等流との違いから見ていきます。
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まず、不等流と比較するために等流について確認します。
等流とは、一般に次のような条件の水路を一定流量で流れるときに生じる流れです。
- 流量 Q が一定
- 水路幅や断面形状が一定
- 水路勾配 I が一定
- 粗度係数 n が一定
このような条件で流れが十分に発達すると、水深や流速は流下方向に変化しない等流となります。
等流では、
河床勾配 = 水面勾配 = エネルギー勾配
となるため、マニング式を使って流量や水深を計算することができます。
一方、実際の水路や河川では、水路の形状や河床の高さなどが常に一定とは限りません。
例えば、
- 水路幅が広くなる、または狭くなる
- 河床勾配が変化する
- 河床に落差がある
- 堰や水門などの構造物がある
- 下流側の水位の影響を受ける
といった場所では、水深や流速が流下方向に変化します。
このように、流下方向に水深や流速が変化する流れを不等流といいます。
土地改良事業計画設計基準[水路工]では「開水路の流れにおいて、水深や流速が時間的には変化しないが、場所によって変化する流れを不等流という。」と記載されています。
等流であれば、一定の水路断面と勾配に対して、マニング式から水深を求めることができます。
しかし、不等流では水深や流速が場所によって変化するため、ある一つの断面だけを見て水深を決めることはできません。
例えば、水路幅が途中で変化すると、
- 流積が変わる
- 流速が変わる
- 速度水頭が変わる
- 水深も変わる
ことになります。
そのため、上流側と下流側の断面の関係を考えながら、水深を順番に求めていく必要があります。
これが不等流計算です。
不等流の解析には、流れをどこまで細かく考えるかによって、いくつかの方法があります。
今回から解説するのは、一次元不等流計算です。
「一次元」とは、川や水路を上流から下流へ一本の線として考え、それぞれの断面の平均的な水深や流速を使って、水面の変化を計算する方法です。
一次元不等流計算では、ベルヌーイの定理によるエネルギー式を使って、上流側と下流側の断面の関係から水深を順番に求めていく方法が、実務でも広く使われています。
一方、川の横方向や鉛直方向の流れまで扱う二次元・三次元解析では、流れの「向き」も考える必要があるため、運動量方程式を用いて解析します。(河川砂防技術基準[調査編]より)
なお、運動量方程式から考えた場合でも、一次元不等流の基本式はベルヌーイの定理から導かれる式と同じ形になります。 そのため、一次元不等流計算ではベルヌーイのエネルギー式が非常に重要な役割を果たします。
まず実務で使用する機会の多いベルヌーイの定理によるエネルギー式を使って、基本から順番に解説していきます。
続きは次回の「逐次計算法による水深の求め方」で説明します。

