合成粗度係数について解説

illustrative photo of the roughness coefficient

 前回投稿の「水路の粗度がなぜ断面全体の抵抗になるのか?」から実に半年近く経ってしまいました。💦久しぶりの投稿です。
 前回は、粗度係数が流速に影響を及ぼすことについて解説しましたが、粗度係数は流水が触れている面の種類によって異なります。マニング公式では単にnを代入するだけですが、複数の粗度係数がある場合どのように計算すればいいのでしょうか。今回はその計算のカギとなる合成粗度係数について解説します。

マニング公式

V=1nR2/3I1/2V = \frac{1}{n} R^{2/3} I^{1/2}
R=ASR = \frac{A}{S}

⇒n1、n2はコンクリートブロック積でn3は河床(砂礫)と異なる粗度係数が複数ある場合にはどうする?

V:流速(m/s)
n:粗度係数
R:径深
I:水路縦断勾配
A:流れの断面積(m2
S:潤辺(m)

合成粗度公式

 粗度係数が複数設定される場合には、それぞれを合成して1つの粗度係数にする「合成粗度係数の公式」がありますのでそれを使えばマニング式(等流計算)にて行うことが可能になります。公式は以下になります。

N=(i=1mni3/2Si)2/3(i=1mSi)2/3N = \frac{ \left( \sum_{i=1}^{m} n_i^{3/2} \cdot S_i \right)^{2/3} }{ \left( \sum_{i=1}^{m} S_i \right)^{2/3} }

N:合成粗度係数
S:i=1~m番目までの潤辺の合計
Si:i番目の潤辺の長さ(m)
ni:i番目の潤辺の粗度係数

護岸の力学設計法P.38より加筆修正

合成粗度係数の計算例

 先に示した公式に沿って合成粗度係数の計算をしてみたいと思います。断面形状は以下の図に示します。

番号i水と接する箇所粗度係数n潤辺S(m)n3/2・S
1護岸部
(左岸側)
0.0242.2360.0083
2低水路部
(川底)
0.0304.0000.0208
3護岸部
(右岸側)
0.0242.2360.0083
合計Σ8.4720.0374

したがって、
N=(0.0374/8.472)2/30.027
となります。

 ここで算出したN=0.027をマニング公式のnに代入すれば良いことになります。

ちょっとした落とし穴

 合成粗度の計算は以上のように公式があるので簡単に電卓でも行えるように思えます。しかし、流量Qが既知のとき水深Hを求める場合、いざ計算しようとすると、潤辺Sの設定に必要な水深Hは流積A・流速V(Q=A・V)を求めないと確定する事ができません(Aには水深必要、Vには潤辺必要)。また、流速Vはマニング式より合成粗度係数Nの計算をしないと確定できませんが水深Hが決まっていないと潤辺Sや流積Aが決まらないので確定できません。したがいまして、計算には水深Hを少しずつ変化(合成粗度係数Nも水深により変化)させて複数回計算(収束計算)し、毎回仮設定した水深で計画流量Qと計算流量qが一致した時点で水深Hを決定します。
 計算を急いでいるときに電卓でぱっと計算しようとすると「しまった、時間かかる」ということになることがあります。粗度係数が全て同じ場合も最初水深が分からないので同じですが、水深によって合成粗度係数が変化するので、さらに計算に時間がかかるという具合です。

エクセルによる等流水深の収束計算

 先ほどの収束計算はエクセルの「What-if分析」を使えば簡単にできますので紹介いたします。
 まず、エクセルを開いて「データ」⇒「What-if分析」⇒「ゴールシーク」をクリックします。

ゴールシークを開いたら
①右にある「数式入力セル」をクリックしてしたのエクセルの計画Qと計算Qの差を計算するセル(I47)をクリックしてセル番号を入力(下のエクセル計算前を参照)
②上の計算の差が0に収束させるため目標値に0を入力
③変化させるセルをクリックして水深Hのセル(G18)をクリックしてセル番号を入力(下のエクセル計算前を参照)
④OKボタンをクリックで収束計算を自動で行い水深Hを計算します。最初は適当な値として今回1.5mを入力しますが、計算により1.344mとなりました。

エクセル計算前

エクセル計算中

エクセル計算後

 以下のように水深H=1.344mのとき計画流量と計算流量が一致し、水深が確定しました。

まとめ

 河川や水路に粗度が異なる面がある場合の合成粗度について計算方法を解説しました。今回は単断面(河川砂防技術基準(調査編)P.110記載のレベル1a)による等流計算としました。エクセルでもできますし使用する場面も多いのではないでしょうか。今回、収束計算はエクセルの「What-if分析」を活用してみました。収束計算は土木設計をしていると他にも活用の機会があるので、便利だと思います。
 その他として、複断面(レベル2、2a、3)は計算がより複雑になりますので、それは専用ソフトにて計算するのが良いと思います。
 また、下記より上記のエクセルをダウンロードできますので、学習用として試してみてはいかがでしょうか。

 ※収束させるには四捨五入を少数第5位まで計算して精度を高くしていますが、計算式中の数値の少数以下桁数が多く複雑になるのを避けて、表記は少数第3位四捨五入の値としています。したがいまして、上記計算式中の数値を電卓で計算すると計算結果とは多少異なっていますが、計算結果は小数第5位四捨五入で計算した結果なので正確であると思います。

合成粗度等流計算Excelダウンロード

 以下からダウンロードできます。

合成粗度等流計算Excel

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