水理学では流速を求める公式として最も著名なマニングの公式があります。マニングの公式を以下に示します。
マニングの公式
V = (1 / n) × R2/3 × I1/2
- V:平均流速(m/s)
- n:マニング粗度係数(次元なし)
- R:径深(m)
- I:水面勾配(次元なし、通常はm/m)
径深の定義式:
R = A / P
- A:流積(m²)
- P:潤辺(m)
ここで、径深Rは水が流下する断面積である流積Aをその流水が接する辺長である潤辺Pで除したものです。一見なぜこのような処理をするのか理解ができなかった経験はないでしょうか。
潤辺 Pは、水と接している境界の長さ。つまり、水が「こすれている」部分の総延長です。摩擦抵抗の源です。
流積 Aは、断面積。水が「通れる」空間の広さです。
これは、流れの効率性を測るためです。
- 流積が大きい → 多くの水が流れる
- 潤辺が小さい → 摩擦が少ない
つまり、径深 Rが大きいほど、摩擦に対して効率よく水が流れる形状ということになります。
幅広く浅い水路 → 潤辺が長く、摩擦が多い → Rは小さくなる
真四角に近い水路 → 潤辺が短く、摩擦が少ない → Rは大きくなる
径深は、流れの抵抗となる水路の壁や水路底など水が触れる長さに対する流積の割合を求めることです。その水路(河川)の形状によって「流れに有効な流積」と「流れに抵抗となる潤辺」の比によって流れの形状がどれだけ摩擦に影響するかを数値化したものです。それが流速を求めるための要素として設定されました。
また、径深は単位がm(メートル)なのですが、幅広く浅い河川でイメージすると平均的な水深に近似します。したがって径深(hydraulic radius:水理学的半径あるいは深さ)とよばれていると思います。
私は昔学生の頃に、水理学の試験で「なぜ面積を潤辺で割るのか」「本当にこれで合っていたか?」と思っていたことを覚えていました。この径深の工学的な意味が当時は全く理解できなかったのを覚えています。それもあり今回解説しようと思いました。
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