こんにちは、技師Kです。 みなさんの生活の場で安全のための柵の高さはどの位が必要なのかをまとめてみました。
対象とする柵の種類は転落や自動車との接触防止などの安全のために設置する柵です。
建物の外構や防犯用などの柵は対象としていません。
車両用防護柵の柵高:0.6m以上 1.0m以下
車両用防護柵はいわゆる「ガードレール」と呼ばれているものです。車両用防護柵の路面から防護柵上端までの高さは、原則として、0.6m以上 1.0m以下と定められています。
この1.0m以下としている理由は車両衝突時に乗員頭部などが防護柵部材に直接衝突するのを避けるため高さを抑えています。また、道路曲線部では柵の外側の視認性が良くなります。
「車両用防護柵」には「路側用車両用防護柵」「分離帯用車両用防護柵」「歩車道境界用車両用防護柵」があります。
「路側用車両用防護柵」は道路の一番外側に設置する柵です。
「分離帯用車両用防護柵」は上下線が分離されている箇所に設置する柵です。
「歩車道境界用車両用防護柵」は歩道と車道の間に設置する柵です。
設置が必要とされる要因
道路の外側(以下路外)に崖や壁などの段差により転落の恐れがあるところが代表的ですが、その場合の目安の1つとしては路側高さ(段差)が2.0m以上で傾斜が45°未満の急な面であれば状況により設置の必要性が生じますし、路側高さが4.0m以上で同様の傾斜であれば必ず設置が必要となります。それ以外の要因として海や川に近接していることや橋梁・トンネルへの進入部(構造体への衝突)、鉄道・立体交差・ガスタンク近接部・走行速度が高い区間にある歩道や自転車道・人家への衝突(二次被害防止)、などの目的にも設置されます。
強度は想定された自動車の衝突に耐えうるものになります。
転落防止柵の柵高:1.1m
横断防止柵の柵高:0.7~0.8m
歩行者自転車用柵は車ではなく人や自転車のための柵です。これには大きく分けて2種類あり、「転落防止柵」と「横断防止柵」になります。
「転落防止柵」の高さは1.1mと定められています。
人や自転車が歩道の路外の高低差のあるところで転落しないようにするためにあります。
柵の高さの考え方は、成人男子の重心高さから求めた高さと自転車に成人男子が乗った時の人の重心高さから求めた高さの双方から歩行者等の転落を確実に防止できる高さとして1.1mとされています。
崖や壁などの段差の程度としては路側高が1.0m以上で傾斜が45°未満の急な面であれば一般的には設置が必要とされています。
このことから、道路の路外にある高低差のほか、橋梁であれば、歩道と車道の区別のないものや、歩道橋なども柵高は1.1mが必要となります。
次に「横断防止柵」の高さは0.7~0.8mと定められています。
歩道に近接する車道の通行量が多く危険であることから道路の横断が禁止されている区間や走行速度が低いが歩道と車道を明確に区分するためなどで設置されます。
景観形成の観点からできるだけ植樹帯の設置の方が望ましいです。植樹帯を確保できるだけの幅が無ければこの柵を設置するものとなります。
柵の高さの考え方は、歩行者が容易に乗り越えられる高さであってはいけませんが、高すぎると美観上の観点から好ましくないため0.7~0.8mとされています。
強度は人が寄りかかることや、自転車の衝突に耐えうるものとなっています。
より詳細な内容は「防護柵設置基準」に記載されています。
建物の屋上やバルコニーの柵高:1.1m
屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが一・一メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。とされています。
引用:建築基準法施工令第126条(屋上広場等)より
足場の手すり柵の高さ:0.85m
足場などの仮設物に設ける通路の手すりの高さは85センチ以上と定められています。
高さ八十五センチメートル以上の手すり又はこれと同等以上の機能を有する設備(以下「手すり等」という。)
引用:労働安全衛生規則(架設通路)第五百五十二条第1項第4号イ より
ただし、工事現場において一般車両や一般市民が通行する仮橋や仮設通路などであれば通常の「車両用防護柵」や「歩行者自転車用柵」と同等の柵が必要であると筆者は考えます。
まとめ
街の通行を安全に行うためには柵はとても重要だと思います。特に人が寄りかかる柵や手すりの高さは1.1m必要であることが分かりました。
地元の学校や自治体等によりまちの安全点検を実施する機会もあると思います。その際には人のための柵の高さは1.1mということを念頭に置くと良いと思います。
今回は柵の高さについてまとめてみました。最後まで読んでいただきありがとうございました。