こんにちは、技師Kです。今回は「クロスセクター効果」というものを国土交通省のリーフレットで見つけ、初めて聞く言葉で興味深く感じましたので調べて記事にしたいと思います。
クロスセクター効果とは、地域公共交通に関することで、もしもその地域の鉄道やバスなどの地域公共交通を行政の補助金があっても経営面での不採算などで廃止したとしましょう、その場合に地域公共交通を今まで必要としていた人、例えば車の運転ができない高校生の通学や高齢者の通院・買い物などは代わりに他の交通手段が必要になります。その方たちへ別の手段で公的な送迎支援をすることになると廃止前よりも行政コストが増加するかもしれません。もしも増加したとなればその増加コストがクロスセクター効果と呼ばれるものになります。例えば「年間約○百万円のクロスセクター効果が生じる」と言うのでしょう。
クロスセクター効果を算出するのは先ほどの記事からして、これまでの地域公共交通を廃止したらさらにコストが増えるのかどうなのかを定量的に知るためです。また、国土交通省のリーフレットの一文をそのまま記すと「クロスセクター効果を算出することにより、地域公共交通への支援の意義を行政内で共有できるとともに、施策の関連性等についての意見交換を行うこと等を通じて、より利用者にとって使いやすい地域公共交通の実現に取り組むことが期待されます。」ということで少し抽象的ですが、私の理解としては「安易に廃止を決定づけるのではなく、しっかりと現在の公共交通機関を生かす方がよいかどうかを見極めるために必要になる」ということだと思いました。ただし、クロスセクター効果として増額が生じたとしてもそれは「地域を支えるための効果的な支出」であり「不採算ではない」という考え方もあり、抽象的な表現なのは金額だけではなく地元の合意形成など深くかかわっていてそれほど単純なものではないということかもしれません。
先ほど「経営面での不採算」と言いましたがこの地域公共交通を語る場合はこれを「赤字」と呼ぶことは不適切とのことです。そもそも地域公共交通は学生や高齢者などの移動手段として生活を行うためには不可欠のもので「地域を支えるための支出」でありそれを「赤字」とは呼ばないということです。不採算だからといって無くしてしまうと、どんどん地域が衰退することが考えられますね。また、「赤字」と呼んでしまうと一気に地域住民の脳内はマイナスイメージになって自分の地域の自信が喪失してしまいそうですね。私はこれからは「赤字路線」とは気軽に言わない方が良いという認識を持とうと思います。地域の皆さんに必要な支出ですね。
クロスセクター効果はまず、現状の公共交通機関の財政支出とそれを廃止した時に追加的に必要となる多様な行政部門の分野別代替費用とを比較することになります。分野別代替費用は、例えば「病院送迎バスの運行費用」「買物バスの運行費用」「貸切スクールバスの運行費用」「タクシー券費用」「道路混在に対応した道路整備費」など廃止によって生じるさまざまな公的代替費用を1つ1つ積み上げて計算します。
私の住んでいるところは電車駅から5㎞離れており駅までのバスも1日に3本しかないようなところです。通勤にも使えないので自動車で通勤になります。本当に不便ですね。私の娘も通学にも使えないので冬は雪が降るため毎日車で送迎していました。それを町内会でバス路線は増えないのかと言うと「以前にもそう言う人がいたんだが・・・」となんだか怪訝そうな感じに。何かあるのだなとは感じましたがそれ以上は空気を読んで何も言えませんでした。そう思うと地域公共交通の問題は本当に難しい問題だと直感的に思います。いろんな人の思いがあるようです。クロスセクター効果を算出することはそれを皆が分かりやすく理解する一助になるように思いました。またこれからの高齢化に向けても地域公共交通をしっかりと考えなくてはならないと思いました。自分はさらに年を取ったらどうしようと今から考えさせられます。